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漢方と不妊

基礎体温からわかること

基礎体温とは「安静状態であり、必要最低限のエネルギーしか消費していない時の体温」と定義されています。

必要最低限のエネルギー消費状態の体温は、寝ている時の体温ということになりますが、寝ている時に自分で体温を測ることはでいないので基礎体温を測定する場合には、朝起きてすぐの活動を開始する前に体温を測定します。

周期療法は生理周期にあわせて漢方薬を使い分けるので

周期療法を行う時は基礎体温からの情報がとても大切になります。

最低でも3周期以上を観察する必要があります。

1.正常タイプ

正常な基礎体温は以下のグラフのように

  1. 高温期が12~14日続く
  2. 高温期と低温期の差が 0.3~0.5℃ある
  3. 低温から高温へ1~2日以内に移行する

という3つの条件が揃っています。

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正常に近い基礎体温でも妊娠できない場合は基本的な周期療法を行います。

生理期 婦宝当帰膠+冠元顆粒+逍遥散
低温期 婦宝当帰膠+杞菊地黄丸+亀板製剤やスッポン製剤
排卵期 婦宝当帰膠+冠元顆粒+参茸補血丸
高温期 婦宝当帰膠+参茸補血丸+補中益気湯
2.低温期が長く、高温期が短いタイプ

不妊症の方に比較的多く見られるタイプです。卵子の成熟が悪く排卵が遅れ、その結果黄体ホルモンの分泌が悪くなります。西洋医学では黄体機能不全、軽度の排卵障害などが考えられます。

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漢方的には

低温期に卵子を育てる血液・栄養が不足して卵の育ちが悪いため、排卵がスムーズにできず、高温期に体温を維持する力が不足して短くなります。低温期にしっかりと血液・栄養を補うことにより、いい卵が育ち、排卵がスムーズになり、いい黄体ができるので自然と高温期に体温を維持できるようになります。

3.高温期が不安定なタイプ

高温期の途中で体温が下がったり、生理が近づくと体温が下がるタイプです。西洋医学では黄体機能不全が考えられます。

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漢方的には

高温期を維持する力の不足により高温を維持することができません。よって高温期に体温を維持する力を補うことで着床しやすいカラダづくりをします。

4.高温期への移行がゆるやかなタイプ

このタイプも不妊症の方に比較的多く見られます。西洋医学では黄体機能不全、排卵障害、高プロラクチン血症などが考えられます。

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漢方的には

1.卵子の育ちが悪いため体温が上がらないケース
2.瘀血などが体温の上昇を妨げるケース
3.プロラクチンが高いケース

が考えられますが全身症状より弁証して適切な漢方薬を組み合わせます。

5.波動が激しいタイプ

ストレスが多く、自律神経が不安定な方に多くみられます。西洋医学では高プロラクチン血症、月経前緊張症候群、自律神経失調症などが考えられます。

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漢方的には

ストレスや睡眠不足により、肝気の疎泄作用が乱れ、体温が不安定になっています。気持ちを整えてリラックスさせる漢方薬を飲むことで改善がみられます。

6.高温期が長すぎる、あるいは高すぎるタイプ

高温期が14日以上続く、あるいは高温期と低温期の温度差が0.5℃以上あるタイプです。不妊症では少なく、西洋医学では黄体萎縮不全、月経前緊張症候群などが考えられます。

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漢方的には

過剰なパワーでいらいら、ほてりなどの症状が良く見られます。清熱することで過剰な熱を静め、また熱によって失った水分を補います。

7.低温期が短い、あるいは高すぎるタイプ

低温期が短く排卵が早い、あるいは低温期の体温が高すぎるタイプです。西洋医学ではホルモン分泌過多が考えられます。

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漢方的には

カラダの中の水分・血液・栄養が不足して空焚きのような状態になっています。水分・血液・栄養が不足しているので排卵期のおりものが少ないことが多く見られます。しっかりと水分・血液・栄養を補うことが必要です。

8.高温期がないタイプ(1相性)

いわゆる無排卵です。西洋医学では卵巣機能不全などが考えられます。

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漢方的には

排卵がないので、周期療法を行うことが難しいです。

無月経の場合は補腎(生殖能力を高める)+補血(血液を補う)+活血(血の巡りをよくする)の漢方薬を症状に合わせて飲んでいただきます。

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